この記事では、サラリーマンなどの会社員でもマイクロ法人を設立して節税することができるかについてお伝えします。
結論から言うと、マイクロ法人の設立による節税は、サラリーマンでも状況によって可能です。
ただし、当然ながら誰でも節税可能という事ではありません。
そこで、この記事ではどうすれば節税になるのか、またメリットやデメリットについても解説しています。
マイクロ法人を利用した節税で損したくない人は、ぜひ最後まで見てくださいね!
サラリーマンでもマイクロ法人を設立すれば節税になるか
サラリーマンがマイクロ法人の設立により節税できるかどうかは、利益の額によって変わってきます。
また、個人事業主がマイクロ法人を設立する場合と社会保険料の削減などの状況が異なるため、それぞれ解説します。
利益の額によっては所得税の節税にはなる
給与の額にもよるため一概には言えませんが、給与所得控除後の所得と副業の所得の合計が500万をはるかに超えてくると、マイクロ法人の設立を考え始めてもいいかもしれませんね。
個人の場合と法人の場合の税率を比較すると、法人税の方が税率が低い傾向にあります。
そのため、トータルの税額を減らす効果は見込めます。
ただし、法人になると地方税の均等割りや税理士費用などのコストもかかるため、所得税だけで判断するのは早計と言えます。
この辺りはデメリットの章で後述しますね!
サラリーマンの場合は社会保険の削減が出来ない
マイクロ法人に限らずですが、社会保険は主たる主たる事業所での加入が義務付けられており、仮に2か所で勤務していたとしても、基本的にはメインの勤務先で加入する事になります。
従って、サラリーマンの場合は、勤務先の企業で会社で加入するのが基本的ルールになります。
ただし、設立したマイクロ法人で代表者の場合は、社会保険の加入義務があるため、そちらでも社会保険に加入する必要がでてきます。
とはいえ、報酬を取っていない場合は加入できないので、その場合は除きます。
設立したマイクロ法人で代表を務め、かつ、役員報酬を少しでも取る場合は「二以上勤務者」の手続きが必要です。
少し話が逸れましたが、早い話が、『法人で役員報酬を低く設定して社会保険料を削減』するということができません。
マイクロ法人活用の大きなメリットである社会保険料の削減は、個人事業主の場合と違って、サラリーマンでは効果が発揮できないため注意が必要なんです。
マイクロ法人はいつ設立すべき?サラリーマンの副業収入がいくらから?
前章でも触れた通り、課税所得(全ての所得の合計)が500万円を大きく上回ってくる見込みとなってきたら、サラリーマンでもマイクロ法人設立の検討をはじめてよさそうです。
ただし詳細な税額の計算はシミュレーションサイトなどを使っての検討をおすすめします。
サイトによっては地方税や社会保険料まで細かくシミュレーションできるサービスもあるため、かなり便利です。
なお、所得がかなり大きくなってくる場合で、そもそも給与所得がかなり多い場合には、かなり早い段階で法人を設立した方が得になる場合が多そうですね。
さらに、場合によっては給与所得であるサラリーマンと、個人事業主、マイクロ法人の3つの柱で進める事を検討した方がいい事もありそうですね。
ただし、法人と個人の住み分けをする必要があり、何事にも合理性が必要です。
不当な租税回避行為とされないために、しっかりとした目的や理由を考えた上で進めるようにしましょう。
サラリーマンが節税目的でマイクロ法人を設立するメリット・デメリット
この章では、サラリーマンが節税目的でマイクロ法人を設立する場合のメリットやデメリットについてご紹介します。
サラリーマンが節税でマイクロ法人を利用する4つのデメリット
まずはデメリットからご紹介します。
節税やマイクロ法人の設立によって出てくる不都合など、主に4つのデメリットがあります。
マイクロ法人を利用するデメリット①:社保の節税は期待できない
サラリーマンの場合は既に社会保険に加入しているため、節税効果が低いと言えます。
個人事業主の場合は国民健康保険から社会保険(協会けんぽ)に切り替わる上、役員報酬の額で調整できるメリットがありますが、それに対してサラリーマンの場合はそのような調整が難しいからです。
とはいえ、所得分散や、法人での低い税率の課税などは利用できますので、状況に応じて作戦を立てるといいでしょう。
マイクロ法人を利用するデメリット②:コストが増加する
- 法人の設立費用(合同会社6万円強~、株式会社20万円強~)
- 地方税の均等割(年間7万円)
- 税理士費用(年間20万円~30万円)
『サラリーマンがマイクロ法人を設立するから』と言って特別なコストがかかるわけではありませんが、そもそも法人を設立して申告するという事は少なからず今までになかったコストがかかります。
赤字の場合でも所得に関係なく定額で課税される地方税の均等割(年間約7万円)や、確定申告や記帳に伴う税理士費用などが主に増加するコストと言えます。
また、言うまでもありませんが、一度限りですが法人の設立にも費用がかかります。
ご自分で法人を設立される場合でも合同会社で最低6万円強(登録免許税の6万円、定款の電子認証費用で数千円)、株式会社の場合は20万円強(登録免許税の15万円、電子定款作成料で数千円、定款の認証で5万円強)が必要です。
もちろん、これらを上回るメリットがあれば問題ありません。
マイクロ法人を利用するデメリット③:手間がかかる
サラリーマンがマイクロ法人を設立する場合には、サラリーマンの給料部分と別に、法人の申告が必要になるため、手間が増します。
場合によっては個人事業主で申告する部分を残すこともあるでしょう。
その場合には記帳や申告の手間がかなり増すことになるため、マイクロ法人を設立することで少なからず手間が増すことは否めません。
マイクロ法人を利用するデメリット④:会社バレの可能性
サラリーマンとして勤務しながら副業をされている場合には、中には会社に内緒で事業を行っているケースもあるかもしれません。
予めお伝えしておきますが、そのこと自体を擁護したり肯定する意図は全くありません。
ただし、そうはいっても、既にそのような状況で事業を行っているケースが多いのも事実です。
時代が追い付いていないとも言えそうです。
法人を設立し、代表者になった場合には会社にバレてしまう可能性があるため注意が必要です。
詳しくは次の章で紹介していきます。
サラリーマンが節税でマイクロ法人を利用する5つのメリット
さて、今後はサラリーマンが節税でマイクロ法人を利用する場合のメリットについてご紹介します。
主に5つのメリットがあるため、順番に解説していきます。
マイクロ法人を利用するメリット①:所得分散によるキャッシュアウトの減少
マイクロ法人を設立して売上を分散する事により、所得分散による節税が期待できます。
良い節税とはトータルでのキャッシュアウトが減少するものであり、課税の繰り延べのようなものではないと思います。
その前提で考えても、所得分散により税率の低いところで課税させることは実際の節税に繋がります。
具体的には一定額以上になれば法人の方が税率が低いため、それを利用する事になります。
また、個人事業には青色申告特別控除もあるため、その部分を有効に利用する事も考えられますね。
どの組織で何を事業として行うかは、バランスを考えながら組み立てるといいでしょう。
マイクロ法人を利用するメリット②:消費税の一時的な免税
法人設立から2年は、消費税がかかりません。
もちろん資本金の額や給与の額で免税にならないケースもありますが、基本的にはそうならないように設立するのが一般的です。
現に課税事業者の場合には、法人設立により、法人で売上計上する部分に関しては、2年間分の消費税が免税となるでしょう。
なお、売上先が事業者の買には、インボイス制度により課税事業者を選択する必要があるかもしれませんので、その場合はこの限りではありません。
マイクロ法人を利用するメリット③:社会的信用の向上
マイクロ法人に限らずですが、サラリーマンでも法人を設立しておけば、社会的信用の向上が見込めます。
具体的には、営業面や、金融機関に対しての社会的信用力の向上です。
また、仕入れ先などの取引先にも影響が出てくるケースもあるでしょう。
大手企業などは、そもそも法人としか取引をしないルールだったりも珍しくないからです。
その意味で、やはり法人の社会的信用は高く、選択肢は広がると言って過言ではないでしょう。
金融機関にしても、事業の内容や業績が重要ではあるものの、やはり法人の方が帳簿や業績資料の透明性や精度も担保されていますし、少なからず信頼感に繋がります。
それ相応の覚悟を持って時間とお金を費やす事実だけでも、一歩進んでいると言えます。
マイクロ法人を利用するメリット④:経費化の範囲の拡大
マイクロ法人を設立するメリットとして、経費化できる範囲の拡大が挙げられます。
もっと言うと、サラリーマンでは経費化が難しいものを費用化できるものがあるということです。
地代家賃や出張旅費、交際費など枚挙に暇がありませんが、多くの費用で経費化しやすいのは事実です。
もちろん、事業に関わるものでなければなりませんので、そもそも関係ないものを経費化できるという意味ではないため、その点はお間違いのないようにお願いします。
この点もマイクロ法人を設立するメリットと言えるでしょう。
マイクロ法人を利用するメリット⑤:欠損金の繰越期間が長く損益通算が容易
サラリーマンがマイクロ法人を設立するメリットの一つとして、欠損金の繰越期間が長いという事が挙げられます。
個人事業主の場合は3年しか繰り越せませんが、法人の場合は10年まで繰り越すことが出来ます。
将来的な見込みがある程度見えている場合には、長い期間繰り越せるため、課税時期の調整などはしやすいと言えそうですね。
また、損益通算のしやすさも挙げられるでしょう。
個人事業主の場合は所得の区分がどうのということで損益通算ができないこともありますが、法人の場合は基本的に全ての経済活動による損益を一緒に計算するため、損益通算ができないということがありません。
マイクロ法人の設立がサラリーマンの会社にバレてしまう4つのケース
- 社会保険への加入義務
- 信用調査会社の会報
- 内部告発による通報
- 電話やメールなど
上記のようなことが会社バレの原因としてあげられるでしょう。
どういうことなのか、それぞれ順に解説していきます。
社会保険の加入義務が出てくるためにバレる
マイクロ法人を設立し、その法人で役員報酬を取る場合には、注意が必要です。
基本的に全ての法人は社会保険の加入義務を負いますが、役員報酬を取っていない場合には加入ができません。
そのため、役員報酬ゼロの場合は社会保険の加入は不要となるため、社会保険が原因で会社にバレる事はありません。
ただし、役員報酬を取る場合は話が変わってきます。
主たる収入源がサラリーマン側であったとしても、法人の代表者は社会保険に加入する必要が出てくるため、2つの事業所で加入する必要があります。
その場合には、2つの事業所分を合算して計算した上で金額に応じて按分することになります。
そのため、双方で情報をやり取りしなければならず、必ずバレると言えます。
信用調査会社の会報などにマイクロ法人の会社が新着法人として掲載
法人を設立して法務局に登記したからと言って、そのこと自体で直ちに会社に連絡がいく事はまずありません。
ただし、サラリーマン側の会社が、帝国データバンクや東京商工リサーチなどの信用調査会社を利用している場合には注意が必要です。
信用調査会社の会報などで、『新着法人』といった具合に、設立したばかりの法人を紹介する事があるからです。
これを営業目的で利用するニーズが一定数あるからだと思いますが、これには注意が必要といえそうです。
内部告発による通報でバレる
これについては説明不要かと思いますが、内部告発などによりバレる事はよくあります。
有人や職場でも特に仲の良い人にしか話していないとしても、その人がついうっかり話してしまうなどという事もありえます。
仲の良い人ほど油断して何でも話してしまいがちだと思いますので、注意したいですね。
メールや電話の内容によりバレる
電話を置いたまま席を離れた際の着信や、メールの着信がパソコンの画面に表示されていたりといった具合に、誰かの目に入ってしまいバレることがあるようです。
あるいは、急ぎの電話などは社内で対応する必要がでてくることもあるかもしれません。
そのような場合の受け答えや頻度などから、勘のいい人が気付いてしまう事もあるようです。
電話やメール等の管理にも気を配りたいですね。
マイクロ法人の節税で損したくない人は税理士さんに相談しよう!
サラリーマンなどの会社員がマイクロ法人を使って節税する場合も、無限にパターンがあるため、できれば専門家に相談するのが無難と言えます。
設立前から相談するのが最も合理的ですが、ある程度の利益がないと税理士さんへの報酬を捻出できないため、しっかり検討してみることをおすすめします。
ただし、場合によっては節税で数十万円の差額が出るような事も珍しくないため、損したくない人はまずは相談してみるといいでしょう。
税理士紹介サイトなどは相談も紹介も完全に無料なので、話だけでも聞いてみるといいかもしれませんね!
まだお決まりでなければ以下で紹介していますので、参考にされてください。
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マイクロ法人設立でサラリーマンが節税する場合についてまとめ
この記事では、サラリーマンでもマイクロ法人を設立して節税できるかについて解説しました。
サラリーマンでも、マイクロ法人の活用方法は十分に効果を発揮できそうです。
サラリーマンと別に個人事業主でかなりの利益を出している場合には、ぜひ検討してみることをおすすめします。