この記事を読むと、バーチャルオフィスの住所を納税地にして開業届を提出できるのか?という疑問が解決します。
結論として、自宅以外の住所であるバーチャルオフィスの住所を納税地として開業届を提出することは”場合によって”は可能です。
ケースによって異なる開業届の書き方や知っておきたい注意点も個人事業主・法人ごとに紹介します。
あらかじめバーチャルオフィスの住所を記載した開業届について知ることで、税金トラブルや他者に迷惑をかけるといった問題を防ぎましょう。
\ 660円からのバーチャルオフィス /
まずは確認!念のためバーチャルオフィスについておさらい
バーチャルオフィスとは、事業所の住所をレンタルできるサービスです。
実際に事業所を借りると、多額の費用が発生しますよね。
バーチャルオフィスだと、月数千円から数万円のコストで、都心の一等地の住所もレンタルすることが可能です。
また、自宅の住所を知られたくない事業者にとって、プライバシーを守ってくれる点が最大のメリットといえます。
このようにコストやプライバシーの面で利便性が高いバーチャルオフィスは、開業時に利用する事業者が増えているサービスです。
納税地は自宅とバーチャルオフィスどっちがいいの?
そもそもバーチャルオフィスの住所を納税地として申請するのは難しい可能性があります。
なぜなら、納税地の原則は個人事業主だと住所地、法人だと所在地とされているからです。
一定の理由があれば自宅外の住所(バーチャルオフィス)で申請ができる場合もあります。
しかし、所在地を納税地にできない理由がある場合、所在地の管轄税務署に開業届を出した後に、税務署に理由が認められた上で、納税地の変更届を出す必要があります。(2022年11月税務署に確認)
ちなみに、個人事業主・法人ともに納税地をバーチャルオフィスにした方がいい可能性があるのは、自宅住所がアパートやマンションなどの賃貸契約をしている物件の場合です。
なぜなら、管理規約で事業所登録が禁止されている可能性があり、その場合大家さんに迷惑をかけるからです。
賃貸物件の大家さんは、建物を登記する際に、建物の利用用途を申請する必要があります。
そして、建物の利用用途で大家さんの支払う税金額がかわります。
つまり、住居用の建物として登記しているのに、事業用として使われたら脱税と認識されてしまう可能性があるのです。
賃貸物件の自宅住所を納税地として申請したい場合には必ず賃貸契約書の確認が必要です。
納税地住所を賃貸物件の住所で開業届を出す場合は、大家さんに相談のうえ、最寄りの税務署に相談すると後々のトラブルが防げるでしょう。
個人事業主編:開業届の書き方や注意点を詳しく解説!
開業届出書は、個人事業主・法人のどちらもにも、住所を記載する欄が2か所あります。
2か所の住所欄には「住所地」「居所地」など、違いがよくわからない言葉も出てきます。
言葉の意味などを含め、個人事業主・法人それぞれの開業届出書の記載方法について詳しく説明します。
個人事業主がバーチャルオフィスを利用する開業届の書き方
- 納税地
- 上記以外の住所地・事業所等
個人事業主が税務署に提出する開業届は正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。
なお、納税地の原則は個人事業主だと住所地となるので、バーチャルオフィスを納税地にしたい場合はお住いの住所管轄のf税務署に問い合わせましょう。
「納税地」欄の書き方
納税地の欄には、「住所地」「居住地」「事業所」の3つから、該当するものを選択して、該当住所を書きましょう。
それぞれの言葉の意味について説明します。(国税庁より)
- 「住所地」…国内に住所を有する者。なお、住所とは「個人の生活の本拠」を指し、客観的事実によって生活の本拠なのか判定されます。
- 「居所地」…国内に住所を有せず居所を有する者。なお、居所とは相当期間継続して居住しているものの、その場所との結びつきが住所ほど密接でないもの、すなわち、そこがその者の生活の本拠であるというまでには至らない場所。
- 「事業所」…国内に住所および居所を有せず事務所等を有する者。住所・居所地以外に事業所がある場合は、その事務所等の所在地。
「上記以外の住所地・事業所等」欄の書き方
自宅とオフィスが同一である場合、記載の必要はありません。
<自宅以外に事業所がある・自宅を納税地にする場合>
「納税地」欄に自宅住所を記載して、「上記以外の住所地・事業所等に事業所住所」欄に事業所住所を記載する。
<自宅以外に事業所がある・事業所を納税地にする場合>
「納税地」欄に事業所住所を記載して、「上記以外の住所地・事業所等に事業所住所」欄に自宅住所を記載する。
バーチャルオフィスを利用する開業届の注意点
一般的に納税地は、住所地となります。
事情がある場合も、自己判断で納税地をバーチャルオフィスとして申請するのは注意が必要です。
納税地を住所地以外にしたい場合、事前に管轄の税務署に相談することをおすすめします。
また、もしバーチャルオフィスを納税地として申請できた場合でも、自宅からの距離が遠い際には注意が必要です。
税務署とのやりとりに必要以上の時間がかかってしまうためです。
急ぎの場合、バーチャルオフィスの郵便物転送サービスでは間に合わないケースも考えられます。
もしも、納税地としてバーチャルオフィスが利用できる場合は、最寄りの住所を借りるのがオススメです。
ところで、「納税地」または「上記以外の住所地・事業所等に事業所住所」のどちらかにバーチャルオフィスの住所を記載しなければ、経費として認められにくいという情報もネット上にはあります。
この件について税務署に電話確認(2022年11月)しました。
結論として、開業届にバーチャルオフィスの住所を記載しなくても、理由があればバーチャルオフィスの費用を経費として計上できるとのことでした。
例えば、プライバシー上の理由で、名刺やホームぺージでバーチャルオフィスの住所を利用したとします。
この場合、開業届の「上記以外の住所地・事業所等に事業所住所」欄にバーチャルオフィスの住所を記載する必要はないとのことです。記載なしでも、経費として計上していいとのことでした。
自宅以外の住所を利用したい場合の開業届はケースバイケースが多いので、事前に税務署に相談すると後々のトラブルが防げるでしょう。
法人編:開業届の書き方や注意点を詳しく解説!
法人の場合、法務局にて法人を設立したあとに「法人設立届出書」を税務署に提出します。
法人設立届出書にて、納税地を申請しますので記載方法をみていきましょう。
法人がバーチャルオフィスを利用する開業届の書き方
- 本店又は主たる事務所の所在地
- 納税地
「本店又は主たる事務所の所在地」に、バーチャルオフィスを利用して法人を設立した際の本店または事務所の所在地住所を記載します。
「納税地」は原則として”その法人の本店または主たる事務所の所在地”とされていますので「本店又は主たる事務所の所在地」に記載した住所を書きましょう。
個人事業主の納税地は、自宅か事業所のどちらか選択可能ですが、法人は選べません。
バーチャルオフィスを利用する開業届の注意点【法人編】
「本店又は主たる事務所の所在地」の住所がバーチャルオフィスの場合、原則として納税地もバーチャルオフィスの住所になります。
上記でも説明した通り、自宅を納税地にすることはできないので、バーチャルオフィスを利用する際は納税地に注意が必要です。
ただし、納税地を本店又は主たる事務所の所在地にしていても、税関係の書類を自宅住所に送ってもらうことは可能です。
バーチャルオフィスの郵便物転送サービスを利用することもできます。
でも時間がかかってしまうので、税務署から直接郵便物を受け取りたいかたは管轄の税務署に相談してみるといいでしょう。
なお、サイトではGMOオフィスサポートのバーチャルオフィスをおすすめしています。
GMOオフィスサポートの口コミや評判が気になる方は以下の記事をご確認ください。
>>GMOオフィスサポート(バーチャルオフィス)の評判や口コミを徹底調査!メリット・デメリットまで全解説!
まとめ:開業届の納税地を理解してバーチャルオフィスを賢く利用しましょう
- 個人事業主…住所地
- 法人…本店または主たる事務所の所在地
ケースによって、バーチャルオフィスの住所を開業届に使用することが認められない場合もあるので注意が必要です。
自己判断で、バーチャルオフィスの住所で開業届を出してしまうと、許可されないなど手間や時間がかかるトラブルが考えられます。
開業届にバーチャルオフィスの住所を記載していないため、経費として認めらないという可能性は低いです。
事情があり、バーチャルオフィスの住所を開業届に記載したいなど、開業届に関する疑問は、お住まいエリア管轄の税務署に相談することをおすすめします。