【税務調査】要注意ポイントまとめ/立会経験や監査法人の監査に学ぶ

税務調査経験・運用・知識

今回は税務調査の際に気を付けるべきポイントについてご紹介します。

まず最初に申し上げておきます。税理士の先生方にご覧いただく場合は、釈迦に説法であり恐縮な限りです。至らない点がありましたら遠慮なくご指摘頂けましたらと思います。

さて本題ですが、税務調査の立会経験や、監査法人の監査時におけるチェックポイントから、注意すべき点やそこから導き出せる考え方を記載していきます。

税務署の調査官と監査法人では立場は違いますが「正しく利益が計算されているか」というチェックする際の基本的なロジックには共通点があります。

粉飾決算に用いられやすい箇所と、租税回避に用いられやすい箇所は非常に似ているということが言えるでしょう。粉飾決算であれば利益を過大に、租税回避であれば利益を過少にすることになり真逆ですが、見るポイントは同じです。

監査法人の監査では売上、仕入、棚卸資産を最も重点的に確認する印象があります。後述しますが、かなり詳細なデータまで確認します。

一方、税務調査では、誤解を恐れず言えば「いかにして税金を取るか」に重きが置かれるため、怪しげな点を見つけたらその部分を徹底的に追及する印象があります。

前置きはこれくらいにして早速本題に入ります。

 

経理部員
経理部員

ぶっちゃけ税務署きらいなんですけど。

LEON
LEON

な、なんてことを!笑

あかんがな。笑
お気持ちはわかりますが、税務署の職員の方も大変なんです。実際に数十人にお会いしましたが、穏やかで人柄の良い人がすごく多い印象ですよ!

経理部員
経理部員

そうかもしれませんが、税金取りに来るイメージです。ノルマがあるとかないとか。。。

LEON
LEON

いや、ノルマはどうか知りませんが、納税は義務です。正しく申告・納税していれば、何も怖い事はありませんよ。少なくとも敵対視する必要はありません。
「嫌われ役大変ですね」って声をかけると、たいていの場合は、もう慣れましたが最初は大変でしたと言われます。本当に大変な職業なんです。

経理部員
経理部員

そうなんですか。でも税務調査は正直怖いです。注意すべきポイントをわかりやすく説明してください。

LEON
LEON

わかりました。では説明していきます。

 

概要

税務調査では、会社の規模によりますが、2名体制で調査に来られることが多いように思います。上席調査官や中堅調査官と、新人といった具合です。また期間は2日から3日といった印象があります。

しかし最近は1名で来る場合も増えてきたとも聞きます。人手不足のようです。逆に5名で1ヶ月近く来たという話も最近聞きましたが、極めてレアだと言えます。

ここでまず中小企業の立場で考えてみるべきことは、「できる限り税務署の作業を手伝わない」と言う事がいえそうです。

かなり主観を含みますが、調査の際に税務署は上手に資料整理や集計などを依頼してくることがあります。これらはできる限り断る方がいいです。

税務署の作業を効率化し時間を与える事は調査対象を拡大する事にもつながりかねません。限られた時間で調査するのですから、なるべく時間を与えない、なるべく手伝わないに越したことはありません。

敵対する必要はないと言いながら何ですかと言われそうですが、貴重な時間を割いて自らのミスを抽出する作業に時間を使う必要はないという事です。

協力する姿勢が好印象を与える面もあるため一概には言えませんが、そこは上手くバランスを取っていただけたらと思います。

「バランスって、もっともらしい事を言ってるようで結局何も言ってないではないか」と言われてしまいそうですが、そうとしか言えませんのでそこはご容赦を。笑

税務調査での要注意ポイント

では具体的に注意すべき事項をみて参りましょう。

売上仕入の期ズレ

「請求書の通りに記帳があるか」などといった当たり前すぎる部分はここでは割愛します。もちろん期末付近で金額が大きいものなどを確認するのは言うまでもありませんが、そこをおろそかにしているケースはさすがに稀だと思うからです。

売上の期ズレは最も簡単に利益調整が可能なため、当然ながら真っ先に見る項目と言えます。また、意図的で無いにせよ、間違いが起こることがあります。「収益の認識基準」があいまいな事も多いからです。

収益の認識基準はたいていの場合、商品や製品であれば納品つまり「引渡基準」で、サービスなどの役務提供であれば「完了基準」になっているでしょう。

一般的には出荷基準又は検収基準になっているかと思いますが、これに一貫性をもたせなければ否認される可能性があります。いずれの場合も継続適用が必要です。

つまり、例えば出荷基準を採用している場合「出荷済みで売上計上が無い」などが問題になるという事です。場合によっては期末付近で金額の大きめの売上に対し、宅急便の送り状などを確認する可能性もあるでしょう。

中小企業の場合これらが整理できていない場合も多く、注意が必要と言えます。

監査法人の監査では、あらかじめ対象とする母集団から一定数のサンプルをピックアップし、資料を確認していきます。

例えば売上であれば、会計ソフトや販売管理ソフトなどの記帳データからピックアップした30件など一定数のサンプルに対し、一連の資料を求められます。

それぞれに対し、「注文書」「納品書」「請求書」のセットを提出するといった具合です。通常の商取引では「見積もり⇒受注⇒納品⇒請求⇒売上計上」の流れが一般的です。

不正が行われる場合には、表面的に請求書などを取り繕ったとしても、細かい部分までケアできていない場合も多いからです。

これらからの学びは「資料は川上に注意せよ」という事が言えそうです。最上流の資料つまり発注(売上であれば受注)段階からの一連の流れに注意する必要があります。

意図的でないにせよ、疑いをかけられては賢明ではありませんし、間違いがあれば否認されます。宅急便の送り状や、注文書などから請求、売上計上まで一連の流れに違和感が無いようにしておく必要があります。

仕入の場合も売上と同様の事がいえますが、こちらは期末時点の金額が大きいものに対して「収益費用の対応」を見る印象があります。つまり「応答する売上があるか」と言う事です。

売上計上がなければ、次に記載する棚卸資産に計上すべきであり、それはそのまま利益につながるからです。

念のためですが、万が一でも「仕入計上時期」と「仕入先の売上計上時期」とに不一致があってはいけません。そのような場合も同様に注意が必要です。

調査の際に違和感があれば反面調査と言って、先方に調査を依頼する事があります。仕入計上があるのであれば、先方は売上計上がなければならないからです。それを調べる事があります。芋づる式で関連企業が軒並み追徴される事も多いです。

棚卸資産

いわゆる在庫です。棚卸資産の計上額は、建設業や製造業の場合、業績を大きく左右します。また、不正会計に利用される代表格とも言えます。

在庫の場合も前述したのと同様に、川上の資料に注意する必要があります。

在庫には「帳簿棚卸」と「実地棚卸」がありますが、中小企業の場合は期末に実際の在庫を確認する「実地棚卸」によっている場合がほとんどです。

この注意点は実地棚卸の「棚卸原票」です。つまり手書きの資料です。これにより数量を確認します。実地棚卸であれば手書きでチェックしたものをエクセルなどで集計する事も多いでしょう。この際に最も重要視されるのが手書きの原票です。原票と計上額の不一致が無いように気を付けましょう。

また、在庫の「単価」にも注意が必要です。監査法人の監査では、期末在庫の目立ったものに対し、単価のエビデンスたる納品書などの提出を求められます。税務署も同様に確認する可能性が高いです。

特に届け出を出していなければ「最終仕入原価」が単価にあたります。最終的に仕入れた単価と在庫の単価が違っていてはいけません。

逆に上場企業の連結対象子会社などであれば「金商法会計」に準拠しており、最終仕入原価での記帳は認められないため、移動平均法又は総平均法を採用しているかもしれません。その場合、税務署に届出が必要です。

監査法人は税務署の届出までは忠告してくれないため、注意が必要です。届出が無い場合、税務署にはあくまで最終仕入原価で申告する必要がり、ギャップがあれば(特に在庫が増える場合)は否認される可能性があります。

「在庫の問題は翌年で解消されるではないか!」と主張しても、最終年でそれが発覚すれば、余裕で否認されます。笑

消費税集計表

会計ソフトで消費税のデータを集計した「税区分別集計表」などがこれにあたります。消費税が否認された場合かなりの金額に及ぶ可能性があります。

そのため、ほぼ確実にチェックする項目と言えるでしょう。間違いが無いように、予めチェックしておく必要があります。

消費税コードの打ち間違えや、家賃など非課税取引、輸出入取引などの免税取引など、ミスを指摘される箇所です。

ここまで書いてみたものの、税理士さんがチェックしてくれる項目ですし、あまり書くことがないためここまでにします。笑

外注加工費

外注費も注意が必要です。特に建設業などでは従業員をアウトソーシングと称して外注先にしているようなケースがあります。

この場合、会社側から見ると消費税も控除できますし、所得税もなく、加えて社会保険の会社負担もありません。

その部分を上乗せして払う事もできるためアウトソーシング的に外注さんにしている場合もあるかもしれません。実際に過去に顧問先で数件ありました。

この場合注意すべきは下記の点です。

・外注先は確定申告をしているか
・指揮管理系統は整っているか
・車両や工具などの貸与はあるか
以前の従業員たる外注先が確定申告をしていれば問題がありません。しかし、そうでない場合もあるかもしれません。
その場合、多くの場合は従業員とみなされ、源泉徴収の履行義務違反として会社側から所得税を徴収する事になるでしょう。加えて消費税も追徴される可能性が高いです。
その際に争点となるのは、上に記載した点です。
指揮管理系統と言うのは、外注さんであれば本来「他の人が代理できる」はずです。個人として完全に会社の指揮管理系統の一部に組み込まれている場合、従業員との違いを主張しづらいです。
また、車両や工具など全て貸与しているような場合も従業員との違いを主張しづらい部分です。

消耗品費

消耗品については「資産性のあるものがないか」と言う部分を見られます。修繕費なども同様と言えるでしょう。減価償却資産の一覧表などとセットで確認される場合があります。

「単価がいくらか」という部分はしっかりと整理しておく必要があります。

応接セットなどは一体としてみられる可能性があるため、注意が必要です。

旅費交通費

旅費交通費も注意が必要です。消費税も控除対象になるため、旅費規程などを整備して節税に利用するメリットは高いです。

出張旅費規定や、場合によっては出張報告書まで確認する事もあるでしょう。

特に出張旅費規程の日当や宿泊費が不当に高い場合は注意が必要です。

内閣総理大臣の日当が3,800円、宿泊代19,100円と定められているため、大きく上回る場合にそれを理由に指摘される可能性があります。

しかし、かなり昔の話ですが、税務調査で日当5万円まで認めてもらえたケースもあります。ただし役員報酬がかなりの高額であったため、不当に高いとも言えなかったケースです。

従って、通常の人件費と相対比較しあまりにも逸脱していれば否認される可能性があると思った方がいいです。

交際費

交際費も注意が必要です。これもほとんどの場合確認します。

ここで注意すべきは、飲食店などの領収書で個人的な支出とみなされ兼ねないものや、金額、日付など情報が欠落しているものが紛れていないか注意が必要です。一事が万事で多くを否認される可能性につながりかねません。

実際に知人が飲食代のほとんどを否認されたケースがあります。

また、交際費はルール上、接待先の氏名や人数などを記載する事になっていますが、実際のところそこまでできていな場合が多いです。

大抵の場合は多めにみてくれますが、疑いをかけられると否認される可能性を秘めています。個人的な支出として認定されないよう注意が必要です。

年末調整

年末調整も確認頻度が高いです。

けっこうな時間がかかるため、これを確認しだしたらむしろチャンスかもしれません。たいていの場合は間違いも少ないですし、あっても少額になることが多いです。

架空の人件費などが紛れていないかなどの確認の意味もあるのかもしれませんが、問題になることは少ないでしょう。

印紙税

飲食店などでは現金商売も多いですから、けっこうな頻度で確認します。これも追徴額が高額になりづらい箇所だと思いますが、なぜか確認されます。

流れとしてはPOSや発行する領収書の控えなどを確認し、「印紙が必要な部分」を確認していきます。5万円以上などです。

それに対して、印紙の購入があるかなどを確認し、印紙の添付、つまり印紙税に徴収漏れが無いかを確認します。

またついでに記載しますと飲食店など現金商売の場合、「現況調査」といって事前の連絡なしに調査に来る場合があります。

いつ来てもいいように準備が必要だと言えます。

PC内のデータ

昔は総勘定元帳など全て印刷して保管していましたが、現在は電子帳簿になっており印刷しない事も多いでしょう。

そのため「PCを見せなくても確認できるでしょう」と主張しづらい面があります。また、断ると何か不都合があるのかと訝しまれる可能性すらあります。

会計ソフトのデータの確認も必要ですし、PC内を見せてくれと言われることが多いのも当然と言えます。

余計なデータが無いか注意して、見られても問題ないようにあらかじめ整理しておく必要があります。

調査前後の雑談

意外に注意が必要なのが雑談です。

ここで綻びを作ってしまう経営者の方も多いです。

何気ない雑談のように思えて、探りを入れられている場合があると思った方がいいでしょう。

まとめ

今回は税務調査についてご紹介しました。

逃げ道を作るようで恐縮ながら、個人的な見解をかなり含みますのでご参考にとどめて頂けましたらと思います。

また、専門家の方には物足りない部分もあるかと思いますが、少しでも参考になれば幸いです。

なお、自社で注意すべき点について、論点や思考を整理する際にフレームワークが役立ちます。下記の記事で紹介していますのでよければご覧ください。

経験からおすすめの最強ビジネスフレームワーク2選で問題解決しよう
フレームワークを上手にビジネスに活用されていますでしょうか? 問題の原因究明や解決方法を探る際に、フレームワークが非常に役に立ちます。 中でも、筆者が実際に実務で使用し、特に使いやすく効果が高いものをご紹介します。 フレームワークの最大のメリットは、可視化することで頭の中を整理して思考を深められる事にあります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました